年末年始にかけていろいろ読んでみようと思い、今までと違ったジャンルの本を手にとってみました。以前からなんとなくですが、「」や「自我」に関してもっと勉強してみたいという気持ちがあったので、今回は「自殺」に関する一冊です。こういうふうに書くと重々しい感じがしますが、「自殺志願者を救うためには何ができるか」というのがこの書籍のテーマになっています。

「自殺志願者」でも立ち直れる
講談社 (2010/11/30)
藤藪 庸一   (著)

私は、いわゆる一般的な形の家庭ではなく、少し特殊な環境で育ったということもあり、子供のころから漠然とですが死や自殺に関して考えることが多く、特に今年に入りいろいろなことが立て続けに起こった為、またそのときの思考がよみがえりつつありました。そんななかこの本とであったわけですが、タイトルの通り「自殺志願者」がまた社会復帰できるように著者が活動している内容が、主に書かれています。牧師である著者が自殺志願者の支援活動をしている教会を引き継ぎ、家族とともに自殺の名所で自殺をしようとしている人たちと接触し手を差し伸べ、支援していくというのが活動内容のようです。

本書の大半を占めている活動内容の中に登場する自殺志願者達は、共通して貧困や病気などを抱えている傾向があるようです。そういった人たちの心を癒し、再び自立して社会に戻れるようにするというのは、想像以上に大変そうだなと、読んでいてすごく伝わってきます。

私自身、「自殺をしたいというなら自由にさせてやればいいのではないか?」と考えていましたが、自殺志願者たちは死にたくて自殺を考えているわけではなく、追い込まれてそれしか選択肢がなくなってしまったから自殺しようとするのであって、決して死にたいわけではないということが書かれていました。そういった人たちを救助・支援できる仕組みを国がもっと真剣になって考え、用意する必要があると本書では述べていて、私もこれにすごく共感させられました。