前回の長い本とは違い、今回は比較的短めです。ファインマンシリーズ同様、こちらもいろんな種類を読もうと思っている「ガン」関連の本です。前のは「抗がん剤」でしたが、今回読んだのは「乳がん」に関する一冊です。解説というよりかは、著者の体験記のような内容になっています。

女医が乳がんを乗り越えた時―「乳がんです。乳房全摘です」
メタモル出版 (2011/01)
安藤 郁 (著)

前のときにも書きましたが、今年に入り私にとっては他人事ではなくなってしまった分野です。とにかく今は情報がほしくて、気になった本からどんどん読んでみようと思っています。タイトルどおり、著者である女医が乳がんを宣告されて、それを実際に乗り越えたときの話がメインのようですが、全150ページほどある内容の中で、乳がん関連の部分は、約1/3程度です。最初の1/3は著者の生い立ちというか何故医師を目指したのかなどの内容になっていて、正直読み始めたときは「関係あるのか?」と思いましたが、その生い立ちがかなり壮絶で、気づけば引き込まれていました。中盤の1/3は乳がんに関する部分で、病名の宣告から手術を受けるかどうかという迷い・葛藤などが描かれ、家族の絆のようなものにも触れています。最後の1/3は再発防止策や予防医学に関するものです。

著者の生い立ちや手術前後の内容が、私の環境と似ている部分がいくつもあり、正直かなり感情移入してしまう自分がいました。かなり複雑で数奇な運命をたどってきた著者の人生も、共感させられるものがあり、決して他人事ではないような気がしてきます。また、手術に関しては家族の大切さを著者が再認識していて、これに関しては私も「そうしたかった」という後悔のようなものがあるので、非常に複雑な気持ちです。

後半部分の予防医学ではサプリメントや食生活にも触れていて、私自身長いことサプリメントを愛用しているため、もう一度摂取しているサプリを見直してみようかなと考えています。

ガンや抗がん剤に関する知識を高めるというよりかは、医師という立場で乳がんと戦って、いまなお再発防止に努めている体験記とういう内容から、どちらかというと当事者やその関係者達に勇気を与えるような一冊に仕上がっていると思います。